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まさか!

炎天下、みんなでヘトヘトになりながら車を押している映像が頭に浮かんだ。
マダガスカルは日本の1.6倍の大きさで、船が着いた町トゥアマシナから首都のアンタナナリボまでは370km。
旅程表には車で10時間と書いてあるけど、そんな大袈裟な〜、と思ってた。

ところが道はボコボコ穴だらけ。車はそれをよけながら走るもんだから、対向車までもぐねぐね運転。
落差の大きいところは止まりつつソロリソロリと乗り越える。
そんなわけで衝突事故も見たし、立ち往生している車もたくさんいた。
そして、まさか、私たちの車が故障するなんて。
意外な展開に胸が踊った。

ヒッチハイクか?乗り合いバスか?野宿か?
でも、カメレオンと一晩明かすのはイヤだなぁ、、。村人に家に招かれたらどうしよう、、。
そんなこんな考えながら小一時間、まわりの景色をみていた。
扇型の木は「旅人の木」といって、マダガスカルのシンボルの木。喉が乾いた旅人が幹をナイフで傷つけて水を得たそうだ。山のアチコチにスラリと立っている。
道端の人が身動きもせずに遠くを眺めている様を見て、何もすることがないからボォーとしてるんだと思ってたけど、自然の姿はいくら見てても飽きることはないのだと知った。

突然、妄想を打ち破るようにエンジン音が響いた。ドライバーさんが、ついに車を修理したのだ。
ドライブ再開!
ロデオマシーンに乗ったように体を振り回されながら目的地に着いたのは、港を出発してから13時間半後だった。
なかなか有意義な時間だった。

景色を眺める人、車の修理をする人。

扇型に葉を広げているのが「旅人の木」

どこでも子どもは可愛い