庄野真代 OfficialSite
ブログ

最大級の難関、の巻

『夜に新しい町に着いてはならない』というのがバックパッカーの鉄則。宿探しが大変だし、暗いと不安が激増する。

なのに、フライトがそうなっちゃった。
国内線で首都タシケントに着いたのは夜の7時半。真っ暗だ。
荷物を待つ間にYandex go(タクシー配車アプリ)の登録を試みた。
ところがSIMカードの電話番号が認証されない。
ダメだ〜、困った〜。
Yandexで車を呼べば、目的地を入力するだけで値段も表示されるが、白タクだと行き先を伝えて、値段を交渉しなければならない。

覚悟を決めて国内線のビルを出る。
外はシンとしていた。国際線で着いたところは白タクがわんさといたのに。
それにタクシー乗り場がない。
他に交通手段がないし、前の道路にでても、きっとどれがタクシーかわからない、、。

今夜の宿はホテルではなく民泊なの。Airbnbのアパート。
住所は控えてきた。地図もある。しかし、ホントに辿り着けるのだろうか。これが道中いつも心配していたことだった。
ため息をついた時、キーッと金属音がした。振り向くと若い警備員さんがフェンスを閉めようとしていた。
あ、ちょっと待って!

「すみません、タクシーはどこにいますか?」
「タクシー?」とあたりを見るが、いないねぇのポーズをする。
私もジェスチャーで「向こうの通りにでたらタクシーがいるの?」と聞く。
すると、お兄さん、ちょっと考えて、ポケットからスマホを取り出した。
「Yandex!」と私は叫んだ。お兄さんがニコリとしたので、すかさず住所を書いたメモを見せた。
お兄さんは行き先を入力して、「ここだね」とmapを見せる。
そうそう、そこです。金額は28000スムとでている。
ありがとう、自分のスマホからタクシーを呼んでくれて、ほんとうにありがとう。助かりました。(手を合わせる)

彼がフェンスの鍵をしめて立ち去ろうとしたので、あっ、車のナンバーを、と駆け寄ったら、前を指差し、もう来てるよ、と言う。
ホントだ、もうそのナンバーの車がいた。
仕組まれていたかのよう。
運転席をのぞいて「ハロー!」と言ったら、「ハロー!」と返ってきた。
この運転手さんは陽気にウズベク語でガンガン喋ってくる。その度にポケトークを差し出しだすが、ラジオの音も聞き取って翻訳されるから意味がわからなくなる。

日本人か、どこからきた、ヒヴァか、ホレズムだな、、という会話から、だんだん面白い話になってきた。
「夫はいるのか?」「いません」
「では夫に縛られることもないね」「はい、自由です」
「私のことはどう思う?」「いい人に会えてよかったです」
「今日はいつまで一緒にいられる?」「あと5分くらいかなぁ」
そんなこんな話しているうちに着いた。
ちゃんと着いた。

しかし、ここからが問題なの。
同じ建物が何棟もあり、私のアパートはハウス番号6の3階の部屋番号33。どこにも表示がない。あるいは暗くて見えない。
朝まで待つわけにはいかないし、見知らぬ人のドアを叩いて聞くわけにもいかない。
あー、誰か来てー!と願った時、建物の裏から一人のおばさんが現れた。
そして、ハウス番号6はあっちだよ、と。
あっちに行ってみる。けど、入り口がどこかわからない。
ソビエト時代に作られた建物なのか、どこも同じ作り。
階段を見つけたので3階まで登る。でも部屋番号が1桁だった。
通りかかった人にも聞いたら、ここでいいと言う。でも部屋番号が違うのよ。

うーん、全部の建物の階段を登るのかー、とクラッとなりながら、もう一度メモを見た。
あら、3番目の階段、って書いてあった。
ほらね、暗いと焦って窮地に追い込まれ感が強くなり、見落とすのよ、大事な情報を。
ありました、部屋番号33。鍵の場所もすぐ分かり、セルフチェックインできました。
あー、よかった、よかった。ほーっ。

ウルゲンチ空港、歩いて飛行機までいきます。

機内はバスみたい。フライトアテンダントは白のポロシャツにGパン。それがユニフォーム。

全てにおいて楽しんでるけど、顔面蒼白な感じに写った。

これがハウス番号6。

あったー、部屋番号33。